前回に続き、世間でよく言われる馬券の俗説を検証します。今回は対象を20個に拡大し、脚質・騎手の乗り替わり・クラスの昇降といった系統を加えました。人気による見かけの差を取り除いたところ、16個は差が確認できず、そのうえ一部は言い伝えと逆の結果になりました。
検証方法
前回と同じ手続きです。対象は2023年から2026年の中央競馬、165,670件、12,087レース。複勝を1点ずつ購入した場合の回収率で評価します。
重要なのは人気による見かけの差を取り除くという点です。
たとえば「休み明けは危険」を単純に集計すると回収率は低く出ますが、それは休み明けの馬に人気薄が多いからかもしれません。そこで対象となる馬の集団について「同じ人気構成の馬を選んだ場合、本来いくらになるか」を計算し、それと比較します。この差が、その俗説に固有の情報を表します。
参考までに、人気帯ごとの基準値は次のとおりです。
| 単勝オッズ | 件数 | 回収率 |
|---|---|---|
| 〜2倍 | 3,454 | 89.3% |
| 2〜4倍 | 13,819 | 85.8% |
| 4〜7倍 | 19,062 | 80.6% |
| 7〜12倍 | 18,908 | 78.6% |
| 12〜25倍 | 27,536 | 80.2% |
| 25倍〜 | 82,891 | 63.4% |
全馬の複勝を買った場合は72.3%です。
結果一覧
差の大きい順に並べます。プラスは「対照より良い」、マイナスは「対照より悪い」を意味します。
| 俗説 | 件数 | 回収率 | 対照 | 差 |
|---|---|---|---|---|
| 連闘(中6日以内)は買えるか | 3,099 | 72.9% | 69.8% | +3.1 |
| 大外枠は不利か | 9,237 | 74.6% | 72.1% | +2.5 |
| 乗り替わりは割引か | 89,580 | 73.2% | 71.5% | +1.6 |
| 距離短縮は買いか | 9,484 | 70.9% | 69.7% | +1.2 |
| 前走4角3番手以内(先行)は買いか | 39,693 | 77.2% | 76.1% | +1.1 |
| 前走1着馬は買いか | 11,236 | 77.3% | 77.1% | +0.3 |
| 馬体重−10kg以上は割引か | 9,260 | 70.1% | 70.5% | −0.5 |
| 追い込みは割引か | 41,061 | 67.9% | 68.5% | −0.6 |
| 斤量増(+2kg以上)は割引か | 15,261 | 69.4% | 70.1% | −0.6 |
| 前走の上がり最速馬は買いか | 13,724 | 77.2% | 77.9% | −0.7 |
| 馬体重+10kg以上は割引か | 13,518 | 71.1% | 71.9% | −0.9 |
| 1番人気の複勝は買いか | 12,049 | 85.1% | 86.5% | −1.4 |
| 前走2桁着順は嫌うべきか | 43,918 | 65.3% | 66.9% | −1.6 |
| 昇級初戦は割引か | 19,390 | 70.9% | 72.9% | −2.0 |
| 中2週以内は不利か | 18,883 | 69.1% | 71.5% | −2.4 |
| 逃げ馬(前走4角先頭)は買いか | 10,967 | 73.9% | 76.9% | −3.0 |
| 牝馬の長距離は割引か | 9,116 | 68.5% | 71.7% | −3.2 |
| 休み明け90日以上は危険か | 23,114 | 67.6% | 71.4% | −3.8 |
| 降級・格下げは買いか | 7,772 | 69.4% | 74.4% | −5.0 |
| 距離延長は割引か | 10,696 | 62.1% | 68.9% | −6.8 |
統計的に差が確認できたのは、太字の4つだけです。 残る16個は信頼区間が対照を含んでおり、差があるとは言えませんでした。
言い伝えと逆だったもの
降級は「買い」ではなかった
最も意外な結果です。「クラスが下がれば相手が楽になるので買い」というのは広く共有された考え方だと思います。
しかし実際は、降級馬の回収率は69.4%で、同じ人気構成の対照74.4%を5.0ポイント下回りました。 方向が逆です。
理由は推測になりますが、この材料が有名すぎるからだと考えられます。降級が有利であることは誰もが知っているため、その馬は既に人気を集めています。人気が集まった結果、オッズが実力以上に低くなり、買う側から見た価値は失われる。むしろ買われすぎている、という状態です。
逃げ・先行有利は確認できなかった
前走で4角先頭だった馬(逃げ馬)は73.9%で、対照76.9%を3.0ポイント下回りました。統計的には差があるとは言えない水準ですが、少なくとも「有利」という証拠はありません。
前走4角3番手以内(先行)も +1.1ポイントで、差は確認できませんでした。
「逃げ・先行有利」は最も広く信じられている考え方の一つですが、人気を揃えて比較すると成立しません。 前に行く馬が有利だという事実があったとしても、それは既にオッズに反映されているということです。
全体を貫く非対称性
20個を「買い材料」と「消し材料」に分けると、はっきりした違いが見えます。
「買い材料」とされるもの
| 俗説 | 差 |
|---|---|
| 連闘 | +3.1 |
| 距離短縮 | +1.2 |
| 先行 | +1.1 |
| 前走1着 | +0.3 |
| 前走上がり最速 | −0.7 |
| 逃げ | −3.0 |
| 降級 | −5.0 |
「消し材料」とされるもの
| 俗説 | 差 |
|---|---|
| 斤量増 | −0.6 |
| 馬体重の増減 | −0.5〜−0.9 |
| 前走2桁着順 | −1.6 |
| 昇級初戦 | −2.0 |
| 中2週以内 | −2.4 |
| 牝馬の長距離 | −3.2 |
| 休み明け | −3.8 |
| 距離延長 | −6.8 |
買い材料はどれも0前後かマイナス。消し材料はすべてマイナスです。
この非対称性の読み方は次のようになります。
- 有名な「買い材料」は、既に人気に織り込まれている。 それどころか注目が集まるぶん買われすぎており、買う側の利益にならない。
- 「消し材料」は、市場が割り引き足りていない。 危険だと言われている条件は、実際には言われている以上に危険である。
実用的に言い換えると、買い材料に飛びつく価値はなく、消し材料はもっと厳しく見たほうがよいということになります。
9万件でも差が出なかったもの
「乗り替わりは割引」については、対象が89,580件と大規模です。これだけの件数があれば、わずかな差でも統計的に検出できます。
それでも差は +1.6ポイントで、確認できませんでした。騎手が前走から替わったかどうかは、成績に影響していないと考えてよい水準です。
同様に、馬体重の増減(±10kg以上)も前回に続いて差が出ませんでした。パドックで増減表示を見て買い目を変えているのであれば、その判断は結果に結びついていない可能性が高いと言えます。
注意点
例によって重要な注意があります。差が確認できた俗説でも、それを使って回収率が100%を超えるわけではありません。
複勝の控除率は20%です。今回検証した中で最大の効果は距離延長の6.8ポイントであり、20ポイントの壁には届きません。距離延長の馬を避けても、残った馬の回収率が70%台から大きく変わることはありません。
今回の結果の使いどころは、自分の判断のうちどれが根拠を持たないかを知ることにあります。20個のうち16個は、気にする必要がなかったことになります。
まとめ
| 判定 | 内容 |
|---|---|
| 差が確認できた(4個) | 距離延長、降級、休み明け、1番人気 |
| うち言い伝えと逆(1個) | 降級は「買い」ではなく、むしろ買われすぎ |
| 差が確認できなかった(16個) | 逃げ・先行、乗り替わり、馬体重の増減、前走成績、斤量、脚質、連闘、大外枠など |
次回以降も俗説の検証を続けます。検証してほしいものがあれば取り上げます。
本記事はAIが下書きを生成し、人間が公開可否を判断しています。掲載した数値はすべて実データによる集計結果であり、恣意的な抽出は行っていません。本記事は情報提供を目的としたものであり、馬券の購入を勧誘するものではありません。
褒め言葉より、悪口のほうが当てになる世界なんだな。


