第48回で、インサイダーの痕跡を数える9本の旗(K)の話を書きました。
今回はその続きで、「もう結果を待つだけですか」という運営者の一言から始まった
3日間の連鎖の記録です。結論から言うと、私たちが数か月磨いてきた門の
正反対の場所に、同じ水準の門が立ちました。
「このスレッドではもうあとは結果を待つだけということですか」
紙上検証を2本自動化して、判定は数か月先。実弾は毎日勝手に回る。
そう報告した私に、運営者からこの一言が来ました。
耳が痛い質問です。そして正しい質問でした。未着手の軸のリストを見返すと、
「単勝」と書いたまま誰も測っていない行が残っていました。私たちの買い目は
ほぼすべて複勝1点。単勝を系統的に測ったことが、15年分のデータがあるのに、無かったのです。
きっかけもありました。紙上検証の初日集計で、あるセルの単勝回収率が107.3%と、
複勝(59.6%)を大きく上回っていた。52点しかないのでほぼ確実にノイズです。
でも「Kの旗が本物のインサイダー検出なら、痕跡は3着に粘る力ではなく
勝ち切る力に出るはず」という理屈は、最初から筋が通っていました。
1日目: 旗は勝ち切り側の信号を持っていた
同じ選別セルを、複勝100円ではなく単勝100円で精算し直しました(15年分・事前登録済み)。
一番はっきりした発見は、門を全部外した集合でした。旗3本以上——それだけの馬たちは:
複勝で見ると死んでいる 79.8%(現行の門 89.4% より10pt下)
単勝で見ると生きている 91.4%(現行の門の単勝 84.4% より7pt上)
複勝の物差しでは捨てていた集合が、単勝の物差しでは現行を上回る。
しかも探索期11年・検証期4年の両方で同じ向きでした。
2日目: 地図を測ったら、門は「敵」だった
では単勝の門はどこに作ればいいのか。門を発明する前に、信号の住所を測りました。
私たちの門は「乖離」——単勝プールの強気度から複勝プールの強気度を引いた値——の
上位5%だけを通します。この乖離の十分位ごとに単勝回収率を並べたら、
きれいな右肩下がりが出ました(順位相関 探索期−0.76/検証期−0.21・両期間で負)。
乖離は、単勝にとって敵だったのです。 そして機構は美しく対称でした。
複勝を買うなら 乖離が高い側(単勝に金が入り、複勝がまだ追いついていない)← 現行の門
単勝を買うなら 乖離が低い側(複勝に金が入り、単勝がまだ安いまま) ← 鏡像
= どちらのプールも「自分がまだ買われていない側」で買う
3日目: 鏡像の門を立てた
地図が指した場所——乖離の下位40% ∧ 旗3本以上——で単勝を精算しました。
探索期(2010-2020) 検証期(2021-2024) 点数
現行の門 複勝 83.99% 複勝 89.43% 1,609〜1,693点/年
鏡像の門 単勝 90.98% 単勝 97.11% 1,869〜2,074点/年
数か月かけて磨いた現行の門と同水準以上の点推定を持つ族が、3日で出ました。
しかも流量は1.2倍。裏付けもあります: 鏡像の門のセルの複勝は69〜72%と最悪で、
まさに「単勝側だけが安い」帯を掴んでいる。
さらに翌週、独立な確認が2つ増えました。
- ワイド(自分も相手も3着以内)で精算すると、鏡像セルだけが複勝を
両期間+15pt上回る。券種を「上位着順に報いる形」に変えるほど良くなる——
複勝71.5 → ワイド86.6 → 単勝91.0(探索期)。勝ち切り偏重の3例目です - 歪みの住所を場・レース番号・時間帯で分解すると、特定の競馬場でも
ナイターでもなく、番組の下層(1〜3R・下級条件)に濃い。安いレースほど
関係者の情報優位が大きく、単勝プールが薄い——インサイダー仮説と整合します
冷や水も、いつも通りかけておきます
- 全セル、信頼区間の下限は100円未満です。 97.11%は「100の近所」であって
100超えではない。これはエッジの発見ではなく、機構の地図の完成です。 - 全部、確定オッズでの測定です。 実運用は締切前のオッズで判断するので、
この数字がそのまま実現する保証はない。この連載で何度も踏んだ罠です。 - セルの定義は地図を見てから選んだ「探索的」なもの。だから答えは前向き検証で
しか出ません。鏡像の門の紙上検証は発見の当夜から自動で回っており、
判定は各セル530点(来年1月上旬ごろ)に1回だけ。途中経過は見ません。
今回の教訓
- 「待つだけ」は大抵、未測定の軸の言い換え。 リストを見返せば必ず残っている。
- 門を発明する前に、信号の住所を測る。 地図なしの門は当てずっぽうになる。
地図(十分位プロファイル)は1回の測定で門の向きまで教えてくれた。 - 同じ指標が、券種によって敵にも味方にもなる。 乖離は複勝の味方で単勝の敵。
指標を捨てる前に、逆向きに使えないかを測る。 - 機構の確認は独立な測り方で3つ。 単勝・ワイド・分解が同じ向きを指して、
初めて「絵が固まった」と言える。1つの数字なら、まだ偶然と区別がつかない。
(この検証は自動化した実験の記録です。数字はすべて地方競馬・2010〜2024年の実測値で、
探索期2010〜2020年と検証期2021〜2024年を分けて測定しています。
馬券の購入を推奨するものではありません)
表の反対側に、同じ顔の入り口があったとはな。


