AIでJRAの回収率110%を目指す検証(第4回)|馬券の俗説10個のうち、差が確認できたのは3つだけ

第3回までで、公開データから市場を上回る手法を見つける試みは終了しました。ただし検証に使った装置は残っています。今回はそれを、世間でよく言われる馬券の俗説の検証に使います。対象は10個、データは16万件です。

今回の目的

競馬には数多くの言い伝えがあります。「休み明けは危険」「馬体重が10キロ以上増えた馬は太め残り」「大外枠は不利」。どれも当然のように語られますが、実際に数字で確かめられている例はほとんど見かけません。

第3回までに、レース結果・オッズ・払戻を扱う検証環境ができています。今回はこれを使い、俗説を一つずつ確認します。

検証方法:見かけの差を取り除く

ここで最も重要なのが、人気による見かけの差を取り除くという手続きです。

たとえば「休み明けは危険」を単純に集計すると、確かに回収率は低く出ます。しかしそれは、休み明けの馬に人気薄が多いからかもしれません。人気薄はもともと回収率が低いため、休み明けという条件に固有の効果なのか、単に人気薄を数えているだけなのかが区別できません。

実際、第2回の検証でこの罠に一度はまりました。オッズの動きと結果に強い関係があるように見えたものが、人気を揃えて比較すると大幅に縮んだのです。

そこで今回は、対象となる馬の集団について「同じ人気構成の馬を選んだ場合、本来いくらになるか」を計算し、それと比較します。この基準値を上回るか下回るかで、その俗説に固有の情報があるかを判定します。

基準となる数字

まず全体像です。検証対象は2023年から2026年の中央競馬、165,670件、12,087レースです。すべて複勝を1点ずつ購入した場合の回収率で評価します。

全馬の複勝を買った場合の回収率は 72.3% でした。複勝の控除率は20%ですから、基準は80%です。72.3%まで下がるのは、人気薄への配分が相対的に大きくなるためです。

人気帯ごとに見ると、次のようになります。

単勝オッズ 件数 回収率
〜2倍 3,454 89.3%
2〜4倍 13,819 85.8%
4〜7倍 19,062 80.6%
7〜12倍 18,908 78.6%
12〜25倍 27,536 80.2%
25倍〜 82,891 63.4%

人気馬ほど回収率が高く、人気薄ほど低いという傾向がはっきり出ています。これは「大衆が人気薄を買いすぎる」という、以前から知られた傾向と一致します。この差を取り除かないと、どんな俗説でも「人気薄が多いか少ないか」を測っているだけになります。

結果一覧

10個の俗説について、対象馬の回収率と、同じ人気構成での基準値を並べます。

俗説 件数 回収率 基準値
大外枠は不利か 9,237 74.6% 72.1% +2.5
距離短縮は買いか 9,484 70.9% 69.7% +1.2
前走1着馬は買いか 11,236 77.3% 77.1% +0.3
馬体重−10kg以上は割引か 9,260 70.1% 70.5% −0.5
馬体重+10kg以上は割引か 13,518 71.1% 71.9% −0.9
1番人気の複勝は買いか 12,049 85.1% 86.5% −1.4
前走2桁着順は嫌うべきか 43,918 65.3% 66.9% −1.6
中2週以内は不利か 18,883 69.1% 71.5% −2.4
休み明け90日以上は危険か 23,114 67.6% 71.4% −3.8
距離延長は割引か 10,696 62.1% 68.9% −6.8

統計的に差が確認できたのは3つだけです。 残る7つは、信頼区間が基準値を含んでおり、差があるとは言えませんでした。

差が確認できた3つ

距離延長は、実際に割引だった

前走より400メートル以上距離が延びた馬の回収率は 62.1%(95%信頼区間 57.2〜67.1%)でした。同じ人気構成での基準値は68.9%ですから、6.8ポイント下回ります。 今回検証した中で最も明確な効果です。

年ごとに見ても一貫しています。

件数 回収率
2023 2,691 59%
2024 3,019 68%
2025 3,195 63%
2026 1,791 55%

すべての年で基準値を下回りました。距離延長を嫌う判断には、根拠があることになります。

なお、対になる「距離短縮は買い」のほうは +1.2ポイントで、差があるとは言えませんでした。延長は割引だが、短縮は加点材料にならないという非対称な結果です。

休み明けも下回るが、差は小さい

90日以上の休養明けは 67.6%(64.3〜71.0%)で、基準値71.4%を3.8ポイント下回りました。

ただし判定は際どいものです。信頼区間の上限が71.0%で、基準値の71.4%をわずかに下回るにすぎません。年別で見ると2024年は72%と基準値を上回っており、毎年安定して悪いわけではありません。

「休み明けは危険」は方向としては正しいものの、言われているほど強い効果ではないというのが実際のところです。

1番人気は、オッズ相応よりわずかに悪い

1番人気の複勝は 85.1%(84.0〜86.3%)で、同じ人気構成での基準値86.5%を1.4ポイント下回りました。

ここは注意して読む必要があります。統計的には差が検出されていますが、実用的な差とは言えません。 件数が12,049件と多いため、わずかな差でも統計的に検出できてしまうのです。

意味するところは「1番人気だから特別に買い得ということはなく、むしろオッズ相応よりわずかに悪い」という程度です。人気という肩書きに追加の価値はないと言い換えてもよいでしょう。

差が確認できなかった7つ

こちらのほうが実用上は重要かもしれません。

馬体重の増減は、ほぼ関係がなかった

最も広く信じられている俗説だと思いますが、結果は明快でした。

件数 回収率 基準値
+10kg以上 13,518 71.1% 71.9% −0.9
−10kg以上 9,260 70.1% 70.5% −0.5

増加も減少も、基準値との差は1ポイント未満です。 パドックで馬体重の増減表示を見て買い目を変えている場合、その判断は成績に影響していない可能性が高いと言えます。

もっとも、これは「馬体重に情報がない」という意味ではありません。その情報は既にオッズに織り込まれている、と解釈するのが妥当です。馬体重は誰でも見られる公開情報であり、多くの人が同じ判断をした結果が既に人気に反映されている、ということです。

大外枠は、不利とは言えなかった

12頭以上のレースでの大外枠は74.6%で、基準値72.1%を2.5ポイント上回りました(ただし差があるとは言えない水準)。

少なくとも、大外枠を理由に割り引く根拠は今回のデータからは確認できません。

前走の成績も、オッズに織り込まれていた

「前走1着馬は買い」は +0.3ポイント、「前走2桁着順は嫌うべき」は −1.6ポイントで、いずれも差は確認できませんでした。

前走成績は最も基本的な公開情報です。誰もが見る情報は、既に価格に入っているという結果になります。

重要な注意

ここまでの結果を見て「距離延長の馬を避ければ勝てる」と考えるのは誤りです。

差が確認できた俗説でも、それを使って回収率が100%を超えるわけではありません。 距離延長を避けても、残った馬の回収率が基準値の70%台から大きく変わることはありません。

複勝の控除率は20%です。今回検証した俗説の効果は、最大でも6.8ポイントであり、20ポイントの壁を埋めるには足りません。 これは第1回から第3回で繰り返し確認してきたことと同じです。

今回の結果の使いどころは、自分の判断のうちどれが根拠を持たないかを知ることにあります。馬体重の増減で買い目を変える手間は、成績に影響していない可能性が高い。その手間を別のことに使えます。

まとめ

判定 俗説
差が確認できた 距離延長(割引)、休み明け(やや割引)、1番人気(わずかに割引)
差が確認できなかった 馬体重の増減、大外枠、前走1着、前走2桁着順、中2週以内、距離短縮

10個のうち7個は、人気による見かけの差を取り除くと消えました。多くの言い伝えは、人気薄を数えていただけだったことになります。

次回以降も、俗説を一つずつ検証していきます。検証してほしいものがあれば取り上げます。


本記事はAIが下書きを生成し、人間が公開可否を判断しています。掲載した数値はすべて実データによる集計結果であり、恣意的な抽出は行っていません。本記事は情報提供を目的としたものであり、馬券の購入を勧誘するものではありません。

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