人気馬に絞るほど、複勝の回収率は上がります。全体で85.1%、単勝2.0倍以下で89.3%、1.5倍以下で96.0%。ではどこまで伸びるのか。この上昇を最後まで追いかけたところ、約98%で頭打ちになりました。そして止まる理由は、運ではなく構造にありました。
前回までの経緯
第1回から第3回で、市場を上回る予測手法を探す試みは終了しました。第4回では、世間で言われる馬券の俗説を検証しています。
その過程で、一つの数字が浮かび上がってきました。人気馬に絞るほど、複勝の回収率が上がるという傾向です。
| 対象 | 回収率 |
|---|---|
| 全馬の複勝 | 72.3% |
| 1番人気の複勝 | 85.1% |
| 1番人気かつ単勝2.0倍以下 | 89.3% |
| 1番人気かつ単勝1.5倍以下 | 96.0% |
複勝の控除率は20%ですから、基準は80%です。それを大きく上回り、96.0%まで来ています。残り4ポイントで、賭けても損をしない水準に到達します。
そこで今回は、この先を確認しました。1.3倍、1.2倍、1.1倍と絞っていけばどうなるのか。
検証環境
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 対象 | 中央競馬、2023〜2026年 |
| 1番人気の件数 | 12,049件 |
| 評価 | 複勝を1点ずつ購入した場合の回収率 |
| 判定 | 95%信頼区間の下限が100%を超えた場合のみ「勝てる」と判定する |
判定基準は第2回から一貫しています。点推定が100%を超えても、信頼区間の下限が届かなければ結論としません。過去に一度、107件での回収率98.2%という数字に騙されかけた経験があるためです(サンプルを17倍にしたところ74.5%まで下がりました)。
結果:上昇は1.5倍で止まる
| 条件 | 件数 | 的中率 | 回収率 | 95%信頼区間 |
|---|---|---|---|---|
| 全1番人気 | 12,049 | 65.3% | 85.1% | 84〜86% |
| 単勝2.0倍以下 | 3,443 | 80.1% | 89.3% | 88〜91% |
| 単勝1.5倍以下 | 917 | 89.1% | 96.0% | 94〜98% |
| 単勝1.3倍以下 | 334 | 93.4% | 98.2% | 95.4〜101.1% |
| 単勝1.2倍以下 | 167 | 93.4% | 96.7% | 92.7〜100.7% |
| 単勝1.1倍以下 | 78 | 94.9% | 97.3% | 92.2〜102.4% |
1.5倍から先は伸びません。 96〜98%の範囲で横ばいになります。
信頼区間の上限は100%を超えていますが、下限が100%を超えた条件は一つもありません。 判定基準に従えば、これは「勝てる」とは言えません。
年ごとに見ても安定しています。
| 年 | 件数 | 的中率 | 回収率 |
|---|---|---|---|
| 2023 | 74 | 94.6% | 100.0% |
| 2024 | 113 | 92.0% | 96.4% |
| 2025 | 94 | 93.6% | 98.4% |
| 2026 | 53 | 94.3% | 99.4% |
4年すべてで96〜100%に収まっています。 この天井は偶然ではありません。
なぜ98%で止まるのか
理由は明快です。オッズ帯ごとに、的中率と平均配当を分けて見ます。
| 単勝オッズ帯 | 件数 | 複勝的中率 | 平均複勝配当 | 複勝回収率 |
|---|---|---|---|---|
| 〜1.1倍 | 78 | 94.9% | 1.03倍 | 97.3% |
| 1.1〜1.2倍 | 89 | 92.1% | 1.04倍 | 96.2% |
| 1.2〜1.3倍 | 167 | 93.4% | 1.07倍 | 99.8% |
| 1.3〜1.5倍 | 583 | 86.6% | 1.09倍 | 94.6% |
| 1.5〜1.8倍 | 1,402 | 78.8% | 1.11倍 | 87.5% |
| 3.0倍〜 | 3,450 | 50.4% | 1.60倍 | 80.8% |
人気馬を突き詰めるほど的中率は上がりますが、同時に配当が薄くなります。1.1倍以下の馬では、複勝配当の平均が1.03倍です。
複勝の払戻には元返し(1.0倍)という下限があります。どれだけ堅い馬でも、それ以下にはなりません。逆に言えば、配当は1.0倍に向かって漸近するだけで、それ以上は下がりようがないぶん、上にも伸びません。
計算してみます。的中率93.4%、平均配当1.07倍であれば、回収率は 0.934 × 1.07 ≒ 99.9% です。実測値の99.8%とほぼ一致します。
的中率の上限(100%には届かない)と、配当の下限(1.0倍を割らない)が、ちょうど100%の手前で釣り合っています。 これが天井の正体です。
単勝も確認しました
この実験では複勝を中心に扱ってきましたが、今回初めて単勝も検証しました。
| 条件 | 単勝の回収率 | 複勝の回収率 |
|---|---|---|
| 単勝1.3倍以下 | 87.7% | 98.2% |
| 単勝1.5倍以下 | 83.4% | 96.0% |
| 単勝2.0倍以下 | 79.3% | 89.3% |
| 単勝3.0倍以下 | 79.7% | 86.9% |
どの水準でも、複勝が単勝を大きく上回ります。 差は10ポイント以上あります。
単勝と複勝では控除率が同じ20%ですから、この差は人気薄バイアスの現れ方の違いによるものです。断然人気を買うのであれば、単勝より複勝を選ぶほうが有利です。 これは今回の検証で得られた、数少ない実用的な結論です。
この実験全体の答え
5回の検証を通じて分かったことは、次の一文に集約されます。
人気薄バイアスは実在し、最も人気の極端な側で最大化し、そして控除率を埋めきらない水準でぴたりと止まる。
大衆が人気薄を買いすぎるという傾向は、確かにあります。だからこそ人気馬の側は相対的に得になり、全体の72.3%が、絞り込むことで98%まで改善します。
しかし100%は超えません。 26ポイント改善しても、最後の2ポイントが残ります。
そして注意すべきは、仮に100%をわずかに超えたとしても、実用にはならないという点です。単勝1.3倍以下の1番人気は、3年半で334件、年間およそ95件しかありません。1点あたりの利益は数円の水準です。
補足:避ける条件は役に立たなかった
第4回の検証では、大衆の注目が集まる場面で人気馬が買われすぎる傾向が見つかりました。メインレース(11R)で5.2ポイント、雨の日で6.8ポイント、それぞれ回収率が下がります。
そこで、これらの条件を除外すれば上積みできるかを試しました。
| 条件 | 回収率 |
|---|---|
| 堅いレースに限定 | 90.8% |
| +メインレースを除外 | 90.9% |
| +雨・雪を除外 | 91.0% |
| +重賞・リステッドを除外 | 91.0% |
ほぼ変化しません。 個別には統計的に検出できる効果でも、断然人気を選んだ時点で既に取り込まれていました。 条件を重ねれば積み上がるという期待は、成立しませんでした。
今後について
数字の上での探索は、ここで一区切りです。次回以降も俗説の検証は続けます。検証してほしいものがあれば取り上げます。
本記事はAIが下書きを生成し、人間が公開可否を判断しています。掲載した数値はすべて実データによる集計結果であり、恣意的な抽出は行っていません。本記事は情報提供を目的としたものであり、馬券の購入を勧誘するものではありません。

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